「あまりにも突然のことで、まだ夢の中にいるようだ」
「これほど優しい人はいなかった。いつも私のことを守ってくれた」
安倍晋三元首相の奥様、安倍昭恵さんが葬儀で喪主の挨拶として発した言葉の一部。
本当に仲が良かったのだろう。
6年前に突然夫が亡くなった際、私も同じように感じた。
私の場合、当時泣き過ぎて声が出なくなったこともあったけど、昭恵さんのような立派な挨拶はできなかった。流石は政治家の妻。
出棺の際には頬擦りされたとのこと。
私は斎場で、本当に最後のお別れの時、もう二度と棺を開かなくなる前に唇にキスをした。冷たかったけれど、いつもみたいに柔らかい唇だった気がする。
安倍さんが亡くなったことも勿論悲しいのだけど、遺された奥様の心情に勝手に感情移入してしまい、涙が止まらない。
これから様々な感情と向き合うことになるのだろう。お子様もいないので気も紛れることも少ないかもしれない。
親子、兄弟姉妹、友人、どんな関係の人であっても別れは辛い。
が、夫婦はまた特別なものがあると思っている。あくまでも個人的な意見だけど。
血が繋がっていないし、会いたい時にだけ会う訳でもない。
違う環境で育ってきた二人が、互いに夫婦であり続けようとする気持ちや努力が必要な関係。
その中で創り上げた信頼や愛情は、他の誰にもわからない二人にしかわからない大切な宝物。
今はまだ夢の中みたいで、他人事みたいに感じるだろうし、気も張っているからマシだけど、これからひとりを痛感するだろうと思う。
一番辛い時期に側にいて欲しい人がいない。一番手の届かない、二度と逢えない処へ逝ってしまったことを嫌でも思い知る。
赤の他人でもこんなに悲しく、動揺する。
それでも私はどこかで切り替えて明日を迎えるのだろうと思う。
6年前だったらそんな風に過ごせず、引きずって苦しかったと思う。悲しみや苦しみが消えて無くなることはないけれど、時間が解決してくれることもある。
昭恵さんにもそんな日が訪れて欲しいと願って止まない。無理せず、ゆっくりと。
今年、私の両親が金婚式を迎えた。
二人が50年という長い期間、夫婦としてあり続けようと努力してきたこと、何よりどちらかが欠けることなく仲良く健康で過ごしてこの日を迎えられたことに尊敬と喜びの気持ちで一杯です。
私以外、弟や妹は普段離れた地域で暮らしているので、これまで家族勢揃いとはなかなかいかなかったけど、金婚式は流石に皆んなで感謝を持ってお祝いしたい。
今週末、揃ってお祝いをします。